スイスアルプスのハイキング(二日目)

 スイスは朝日が昇るのが遅い。7時過ぎにならないと明るくならない。5時頃
目が覚め、ベランダに出て天気を確認する。星が輝いていた。

 これは、ついていると、本日の行動は前日の約束通り、8時の登山電車に乗る。
駅のモニターでもマッターホルンがぱっちりと写っていた。登山電車はツェルマ
ットから終点のゴルナーグラードまで 1600m から 3089m まで 40 分かかって上
がる。料金は往復 50 フランと高い。

 旅行ガイドによるば右側に座るとマッターホルンがよく見えるとのことで、そ
のようにする。しばらくすると朝日に輝いたピラミット形をした大きな岩山が視
界に飛び込んできた。乗客は皆驚きの歓声をあげた。窓越しに夢中でシャッター
を切る。雲が全くなく澄み渡った快晴である。

 森林地帯を抜け、岩石地帯にはいると昨日の雪が積もり、周囲は白一色の世界
となる。途中駅は4つあり、みな無人駅である。線路近くの雪原にひつじが何十
頭もいたのでカメラを向ける。

 ゴルナーグラード駅で降り、さらにホテル上の展望台まで上がる。 360 度の展
望が素晴らしい。知っている山はマッターホルン、モンテローザのみであるが、
雇ったガイドがその他の山の名前を説明してもらった。

 目の下にはゴルナーグラード氷河、さらにその先には、アルプスでロープウェ
イで上がれる最高地点 3883m のクライン・マッターホルンの駅が見える。

 展望台で約1時間楽しみ、今日は一つ目の駅ローテンボーデン 2815m で下車し、
1600m のツェルマット部落まで1人で約4時間のハイキングすることにする。他
のツアーメンバーは地元ガイドを雇い、更に次の駅で下車し簡単なハイキングコ
ースを一駅のみの約1時間コースを団体行動で歩くのであるが、私は単独行動を
とらしてもらった。そのためガイド料金 18 フランは支払わなくてもよいと言わ
れた。

 一つ目のホームもない無人駅に下車し、アプトン式の線路を渡って雪原へ1人
で踏み出す。ツアー仲間が見送ってくれる。記念にと発車し下る電車を写真に納
める。

 さてと、気を引き締めてコースを歩き出す。しばらく下ると、逆さマッターホ
ルンが写る小さな湖に到着する。凍っているのか水面によく写っていないが何枚
もシャッターを切る。

 ハイクコースは、真正面のマッターホルンへ向かって雪原が続いている。周囲
にいるのは我1人のみ、何か動物の足跡があるが新雪に人間の足跡をきざんで進
む。

 雄大なアルプスのまっただ中で気持ちが引き締まり、何とも表現できないよう
な感動的で涙が出てきた。自分が大自然の中にとけ込んで行くように気分になっ
た。つくづく1人で来て良かったと思う。他人が大勢いる展望台ではこのような
気分はなかった。

 このような気分を写真に残そうと思い、適当な岩石の上にデジカメをセットし
セルフタイマーで写す。うまく自分が画面の中に入っただろうか。次にフィルム
カメラをセットするがセルフタイマーが故障しNG。

 コースが雪に隠れてよく分からない。どんどん沢を下っていく。コースを間違
えたかと、分かっている分岐点まで数百mほど引き返し、慎重に地図読みし、地
形、方向、歩測で進むが、なんだ、元歩いたコースで間違いなかったのだ。呼ん
でも助けてくれる人がいないので転んで怪我をしないよう慎重に進む。

 ハイクコースは二つ目の駅にたどり着く。次のコースからは、ツアーメンバー
が歩いた足跡を辿るのみで簡単だ。あっ目の前を鹿が2頭走っていく。写真を写
そうと思ったがもう走り去ってしまった。

 マッターホルンに向かった平らな石に腰を下ろし、スーパーで購入した堅いパ
ンをかじり水を飲む。デザートはマラソン参加賞の小さいりんご。このりんごが
意外に美味しかった。一生思い出に残るであろう贅沢な昼食だった。

 唐松の森林地帯を下り、のどかな素朴で美しいツェルマット部落を歩き、ホテ
ルへ戻ったのは15時となっていた。

登山電車の中から朝日に輝くマッターホルンが見えると乗客から歓声が上がる

コルグラード展望台から手前の終点駅をはさんでマッターホルン

リッフェルゼー池の逆さマッターホルン

岩の上に置いたカメラでセルフタイマーの自動シャッター

アルプスを独り占めにした気分、夏は高山植物が美しい場所か?

森林越しに見えたマッターホルン

紅葉に囲まれたツェルマット部落

ハイキングコースの案内板

ツェルマット駅前風景、電気自動車と馬車が写っている。

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